未成年者が財産に関する法律行為をおこなう場合、
原則的に親権者が未成年者の法定代理人となります。
夫(または妻)が亡くなり、未成年の我が子と共同相続人になった場合、遺産分割の場面で、自分と我が子の利益が相反することになります。そのような場合には、我が子に対して特別代理人を選任しなければ、相続手続を進めることはできません。特別代理人の選任を申し立てる際には、遺産分割協議書案が必要ですが、我が子に不利な内容であると認めてもらえないことがあります。
そこで、親権者に代わる代理人として、未成年者のために特別代理人を選任し、その特別代理人が未成年者を代理します。特別代理人選任の手続きを司法書士に依頼すれば、申立書類の作成だけでなく家庭裁判所への申立ても代行します。さらに、その後の遺産分割協議書作成や、不動産相続登記に至るまでの一連の手続きを、当事務所へご依頼いただけます。
特別代理人選任申立のご相談は私にお任せください!
- 吉良 崇簡裁訴訟代理等関係業務認定司法書士
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未成年者が財産に関する法律行為をおこなう場合、原則的に親権者が未成年者の法定代理人となります。しかし、未成年者と親権者との間で利害が対立する場合(これを利益相反行為といいます)には、親権者が法定代理人になることはできません。そういった場合、未成年者のために特別代理人を付ける必要があり、特別代理人が未成年者を代理して手続をおこないます。
特別代理人選任申立の手続き
特別代理人選任申立をするときには、次のような必要書類を揃えて、家庭裁判所に提出しなければなりません。
- 特別代理人選任申立書
- 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 親権者又は未成年後見人の戸籍謄本(全部事項証明書)
- 特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
- 利益相反に関する資料(遺産分割協議書案,契約書案・抵当権を設定する不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)等)
- (利害関係人からの申立ての場合)利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)等)
申立前に入手が不可能な戸籍等がある場合は,その戸籍等は,申立後に追加提出することでも差し支えありません。審理のために必要な場合は,追加書類の提出をお願いすることがあります。
特別代理人選任申立時の注意点
特別代理人と遺産分割協議
親権者である母と未成年の子が共に相続人である場合において、遺産分割協議の結果、母が相続財産の分配を受けないときでも、特別代理人の選任を要します。
未成年者とその親権者とが相続人である場合において、遺産分割協議の結果が法定相続分と同じ場合であっても、未成年者のために特別代理人の選任を要します。
利益相反行為における遺産分割の内容
相続人が母と未成年の子1人である場合、子の法定相続分は2分の1なので、少なくとも子に法定相続分である2分の1以上の相続財産を与える内容である必要があります。しかし、親権者が未成年の子の一切の生活の面倒を見ているような場合は、例外的に親権者がすべて相続する内容の遺産分割協議案であっても認められる場合がありますが、最終的には裁判所次第です。ですが、基本的には特別代理人の選任が必要なケースでは、当該未成年者に法定相続分以上の相続財産を与える遺産分割協議でなければならない可能性が高いと考えてよいと思います。
特別代理人と相続放棄
遺産分割協議のときと同じく、相続放棄においても親権者と未成年の子の間で、利益相反行為が存在する場合には、特別代理人の選任をしなければいけません。
特別代理人選任申立に関するよくある質問
- 親権者(後見人)と子(被後見人)の利益が相反する行為(利益相反行為)とは,どのような行為のことですか?
- 利益相反行為とは,法律行為自体や外形からみて,親権者(後見人)の利益になるが未成年者(被後見人)にとっては不利益になる行為,又は親権に服する子の一方には利益になるが他方の子にとっては不利益になる行為のことをいいます。
【1】夫が死亡し,妻と未成年者で遺産分割協議をする行為
【2】複数の未成年者の法定代理人として遺産分割協議をする行為
【3】親権者の債務の担保のため未成年者の所有する不動産に抵当権を設定する行為
【4】相続人である母(又は父)が未成年者についてのみ相続放棄の申述をする行為
【5】同一の親権に服する未成年者の一部の者だけ相続放棄の申述をする行為
【6】後見人が15歳未満の被後見人と養子縁組する行為
などが該当します。 - 「利益相反に関する資料」とは,どのようなものですか?
- 利益相反行為の内容によって違ってきます。例えば,上記の【1】,【2】のときは,遺産分割協議書の案,【3】のときは,金銭消費貸借契約書や抵当権設定契約書の案と抵当権を設定する不動産の登記事項証明書(登記簿謄本),【4】,【5】,【6】のときは,戸籍謄本(全部事項証明書)等が該当します。
- 特別代理人は,どのようなことをするのですか?
- 特別代理人は,家庭裁判所の審判で決められた行為(書面に記載された行為)について,代理権などを行使することになります(家庭裁判所の審判に記載がない行為については,代理などをすることができません。)。家庭裁判所で決められた行為が終了したときは,特別代理人の任務は終了します。